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現在位置:HOMEの中の観光・みどころの中の文化の中のガラスの街とやまからアーティストインタビュー 4

アーティストインタビュー 4

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第4回 名田谷 隆平さん(ガラス作家、富山ガラス工房)


目標は、作品の制作を通して、自分自身や社会について考え、将来の方向性を見つけていくことでしょうか。

ガラスを志したきっかけは何ですか?

「48枚の『1936年と今日の皿』=記憶を繋ぐ食卓」 2006年制作 「北陸の作家たち~グラスワークス2006」出品作品 僕がガラスを志そうと思ったのは大学生の時です。当時僕は生物学を専攻していたんですけど、自分のやっている学問が、果たして人の役に立つかのどうか、疑問に感じ始めていたんですね。例えば品種改良によって、乾燥に強い麦や、病気に強い米を作ることができる。それは一時的には世界の貧困を救うことになるんですが、そうすることで、逆に自然の生態系を破壊してしまう可能性も出てくるんですよ。それでいろいろ悩んでいる時に、たまたま帰省先の神戸で、江戸時代の「ぎやまん」の展覧会を見る機会があって、そこに展示されていた切子の美しさに、すごい衝撃を受けたんです。こんな綺麗なモノを作って生活できるのなら、それを使ってくれる人を喜ばせることもできるし、作っている自分も幸せになれるんじゃないかな、と。そこから急に、ガラスに対する興味が沸き始めたんです。

実際どんな風にガラスを学ばれたのですか?

 当時の富山は、まだガラスを学ぶ環境がほとんど整っていませんでした。でも僕がガラスを勉強したいと思ったときに、ちょうど市民大学のガラス工芸コースがスタートしたので、最初はそこでガラスを学んでいました。途中で民間の会社に就職したんですが、作家になりたいという思いは持ち続けていたので、仕事を続けながら個人作家の工房を訪ねたりしてましたね。ところがそうしているうちに、実家のある神戸で阪神・淡路大震災が発生して、数日前に会ったばかりの親族が死んでしまう、という経験をしたんです。そこで「人生、一度しかない」と突然思ったんですね。作家になりたいのなら、思い切って本格的にチャレンジしてみよう、と。それで仕事を辞めて、築炉の勉強をしたり、能登島で吹きガラスのトレーニングを受けたりした後に、オーストラリアの美術大学に留学したんです。

富山ガラス工房ではどんな仕事をされていますか?

 僕は企画開発室で創作工房ディレクターという立場で仕事をしています。仕事の中身は、作品の制作から、イベントの企画や広報、ガラス新素材の開発まで、いろいろありますね。作品は、テーブルウエアー、オーナメント、建築に組み合わせるガラスパネルまで様々なものを制作しています。イベントは特に、体験型の企画が多いですね。創作工房ができたお陰で、ガラスに触れる機会を提供しやすくなりましたから。あと国際交流に関連した事業も、重要な仕事の一つです。富山とオーストラリアとの人材交流や、韓国、台湾、シンガポール、アメリカ、イギリス等で、富山ガラスのアピールを様々な機会に行って来ました。今後は、人材交流、情報交換だけでなく、ガラスビジネスの交流に発展させて行きたいと思っています。ガラス工房

富山ガラス工房でディレクターとしてガラスに携わる立場とは別に、1人の作家として、普段どんなことを意識されていますか?

 基本的にアートピースとクラフトでは制作の考え方を変えています。アートピースの場合は、誰かに自分のメッセージを伝えたいというのが第一です。僕の場合、特にそれは社会的なメッセージが多いと思いますね。これは僕の個人的なアーティスト観ですが、プロの作家というのは、作品の制作を通して、社会の中で何か役割を果たしていかなければならないと思うんです。つまり作品の中に、社会に対する疑問やメッセージを込めて、それを世の中の人たちに提示していくことが重要だと思うんですね。でも作家の考え方にはいろいろなスタンスがあって当然ですから、別の考え方が悪いとか間違っているとは思いません。一方でクラフトの場合は、こちらは生活に入り込むモノですから、アートピースとは違って、あまり作品が自己主張しすぎてはいけないと思います。作品を使う時に、その人の時間や周りの空間が、何となく豊かになる様な作品を作りたいと思っています。名田谷 隆平さん

ところで、「ガラスの街とやま」の現在の状況について、どう思われますか?

「Into the Cubes Ⅱ」  2007年制作 「ON THE OIL IN THE SOIL」展より 僕は、富山のガラスは「人との関わり」を大切にしながら、人材の育成から地場産業の形成までを大きな一つの流れとして捉えているところに、特徴があると思うんです。そして人との関わり方から人材の育成に至る部分までは、現在のところ100点満点に近い成果を挙げているんじゃないでしょうか。ただ、地場産業化と言う面では、まだやれることは有ると思いますね。中・長期的な将来像をはっきりさせることや、富山のガラスのブランド化を促進するとか、今後いろいろと取り組む課題は多いと思います。それらをクリアしていって、ガラスが地場産業としてしっかりと自立して、富山のガラス関係者が無理なく生活できるような環境になって、最終的には、富山に住むガラス作家も、また一般の市民の皆さんも、富山のガラスを誇りに思えるような状況になる事が理想だと考えています。

最後に、作家としての将来の目標は何でしょう?

 老後の送りかたは、はっきりとしたビジョンがあるんですが(笑)、作家として将来どうなるかは、正直言って明確なイメージは持っていないですね。社会の中で、自分の夢やビジョンを具体化する為に、できるだけ有名になりたいとは思いますけど(笑)。表現したいコンセプトによっては、ガラス以外の素材を使うこともあると思いますが、生活の中心がガラスから離れる事は将来もないと思います。あえて目標をあげるとすれば、作品の制作を通して、自分自身や社会について考え、そして将来の方向性を見つけていくことでしょうか。


(2007年1月、富山ガラス工房にて)
「Into the Cubes Ⅱ」(部分)

名田谷 隆平
1964年兵庫県生まれ。オーストラリア国立大学キャンベラ美術大学大学院卒業後、富山ガラス工房に就職。作家として現代社会の諸相に鋭い視線を投げかけるアート作品を手掛ける傍ら、ガラス工房では体験企画や国際交流事業など、様々な企画に取り組んでいる。

 
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