【イチイ】
(一位、水松) イチイ科

 山地に自生する常緑高木。樹皮は赤褐色をおび浅い裂け目がある。葉は細長く短柄で先はとがり、上面は濃緑色、下面は淡緑色で雌雄異株、春に花をつけ、雄花は楕円形の花序で葉腋につけ、雌花は緑色ツボ状をなし、果実は紅熟する。
[生薬]  一位葉:イチイの葉を夏に採集乾燥したもの。果実は10月頃に採集し乾燥。
[薬用]  葉は通経、利尿薬で腎炎や糖尿病に葉5〜10gを水500ccで煎じ、1日3回に分服する。葉は血圧を下げ、肝臓病、通経、利尿に用いるがタキシンを含んでいるので連用すると中毒をおこすので、家庭では用量に充分注意すること。果実は瀉下、および、せき止めに1日5gを水400ccで煎じ1日3回に分服。
[水分]  葉にアルカロイドのタキシン、フラボノイドのスシアドビチジンを含む。
[薬理]  アルカロイドのタキシンは血圧を下げ、心臓の搏動緩慢となり、ついにその拡張時に止まり、呼吸は最初変化なく、心臓機能が衰えると影響をうける。
[栽培]  栽培は容易。寒冷地を好む。自然に真直ぐ伸び直幹になるが、側枝を挿し木で育てると、横枝が張ってキャラボクと同じようになる。排水良好な土地によく成育。日陰でも成育良好で木陰用生け垣に用いる。4月中旬赤土で団子ざしするのがよい。日光直射をさけ、充分注意し1〜2カ月で発根する。