4月からもう半年経過しているが、住民の皆さんが一番関心を抱いている水道料金や行政サービスに伴う負担の問題などは、お示し出来る段階に至っていない。法定協議会で協議している事項が全てではなく、各分野の市町村担当者が頻繁に協議し、全体として二千数百項目の事務を調整して一本化していく作業を鋭意進めている。概ね1,000項目程度の方向性が出ているが、個別の項目を小出しにすると全体像が見えにくくなるので、行政サービスやその負担について全体的に捉えていただけるよう「ある程度まとまった時点」でお示しをさせて頂こうと考えているので、ご理解を頂きたい。
新市の名称は検討委員会を別に設置し、ご議論を頂いた結果、「富山市(とやまし)」という名称で提案を頂き、第8回法定協議会で正式に承認いただいたところである。
新市建設計画については現在作業中で、配布の資料は素案、概ねこうしたイメージで協議会メンバーにお示しし、議論が一応終了している段階の内容である。これを見ると下水道料金や保育所のあり方などには触れていないが、今後、具体の作業が付加されることになる。
「何故、合併か」という件について、ある年齢別人口構成の見通しによれば、2000年現在、約8,600万人の生産年齢(64歳以下)人口で1,800万人の高齢者を支えている人口構成は、2050年には5,380万人で3,580万人の高齢者を支えなければいけない状況になるため、様々な分野で構造改革が叫ばれている。医療制度や年金制度等の改革を着実に進め、将来安心できる仕組みを作っていくことが求められている。こういう流れの中で、我々地方自治体が負担増に繋がらない行政組織・行政体を作っていくことが強く求められていることだと考えており、これらを解決していく上で、市町村合併の手法を通した様々な領域でのリストラ策は避けて通れないと思っている。5年、10年のスパンでなく、20年先、30年先、40年先の問題について、「このままでいいのか」をこの機会に議論しなければならないことを申し上げたい。
もう一つの側面、財政的な厳しさが実態としてあることを申し上げたい。政府は今年6月に交付税を減らすという方針をはっきり決めている。交付税は減り、補助金も減らす代わりに財源を譲るという方針も出ているが、はっきりしていない。こうした流れである以上、地方は地方として、行政のスリム化・効率化など考えられるあらゆる方策を探りながら、しっかりと皆さん方のご期待に応えられるような行政運営をしていく必要があり、その意味でも合併という手法を通しながら、将来も持続的に発展できる行政組織を作り上げていきたいと考えている。
法律で定められた期日までに合併すると優遇策が受けられるので当然良い訳だが、それで合併が仕上がった訳ではなく、今後、住民と行政の協働により、10年、15年掛けて「どういう都市を作っていくのか、端から見て魅力的な町を、みんなで時間を掛けて作る作業こそが合併の取組みだ」と考えている。