安田城跡 歴史の広場
 
「縄張り図でめぐる富山の城」
コーナー
本コーナーでは、様々な防御の工夫が詰まった中世城郭の面白さを知っていただくため、平成27年度より県内の城の縄張り図の配布を行っています。
この縄張り図は、城郭研究家である佐伯哲也氏の協力を得て作成しているものです。
小さいコーナーながら大変好評をいただいているため、令和2年2月より、佐伯氏のご厚意により31城を増やし、計63城の縄張り図を配布することになりました。
城を熟知する専門家ならではの推定進入経路入りの縄張り図や各城の縄張りの解説、城散策の難易度判定などを掲載しています。
この縄張り図を活用して、富山の城を一層親しんでください。

縄張り図配布の様子

白鳥城縄張り図
【配布一覧表】 (全63城)
富山市 白鳥城、長沢城、富崎城、高山城、井田主馬ヶ城、城生城、大道城、高嶺城、尾畑城、大村城、薄波砦、栂ノ尾城、日尾城、湯端城、樫ノ木城、中地山城、論田山城(小見城)
立山市 新宮山城、池田城
上市町 茗荷谷山城、千石山城、蓑輪城、郷柿沢城
魚津市 水尾城、松倉城、升方城、北山城、天神山城
朝日町 横尾城、宮崎城、元屋敷城
射水市 日宮城
砺波市 亀山城、池ノ平等屋敷・七ツ尾山屋敷、増山城、安川城、壇ノ城、千代ヶ様城
南砺市 井波城、上見城、広瀬城、桑山城、御峰城(土山御坊)、西勝寺城
小矢部市 松根城、一乗寺城、源氏ヶ嶺城、道坪野城、今石動城
高岡市 赤丸城、高岡城、守山城、古国府城
氷見市 摩頂山城、堀田城、神代城、飯久保城、千久里城、中村(山)城、阿尾城、海老瀬城、森寺城、荒山砦
【佐伯哲也氏へのQ&A】
Q1 最も注目してほしい城の縄張りは?
A1 白鳥城。迷路のような通路設定と実戦に耐えうる構造になっている点に注目してほしい。実際に籠城して敵軍と戦う予定だったと考えられる。恐らく現存の遺構は、佐々討伐後、佐々氏の反撃に備えて前田利家が大改修したと考えられ、このため防御構造が異常なまでに厳重になっている。
Q2 縄張り図の作製が最も大変だったのは、どの城ですか。
A2 荒山城。現在は城跡直下まで自動車で行くことができ、さらに薮もきれいに刈り払われ、公園として整備されている。しかし私が調査した20年前は、荒山砦から尾根を歩いて登り、さらに城跡は一寸先も見通せないひどい薮で、体を動かすこともできない状態だった。体は、打ち身、捻挫、擦り傷や切り傷満身創痍状態となり、縄張り図の原図には今でも血痕が残っている。今まで一番ひどい薮だった。この手の苦労話は無数にあります。
Q3 おすすめの城はどこですか。
A3 海老瀬城。天正11年(1583)から天正13年における織豊系陣城としては、教科書のような基本形の縄張りとなっている。これほどコンパクトにまとまったきれいな織豊系陣城で、しかも遺構が完存している城郭は少なく、北陸(富山、石川、福井)では唯一の事例と言える。
是非現地を訪れ、織豊系陣城の美しさを堪能してほしい。
Q4 縄張り図を皆さんにどのように利用してもらいたいですか。
A4 実際に現地に行って縄張り図を書いてほしい。