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調査では、土塁の基底部が検出され、土塁の断面構造と盛土の様子が明らかになりました。
まず旧地表上に水平に盛土を行います。その幅は約10m、厚さ約1mです。1mを盛るのに10層以上を積み重ねる版築という方法で行っています。堅固にするため、水を撒いて突き固める水締めを行ったことが、基底部に著しい鉄分の沈着層の存在が示しています。
東西の斜面部は、中央の水平盛土部分を斜めに削り、側面に積み上げています。その厚みは2.8m以上です。曲側輪の下部は、地表面を1m以上掘り込んだところから積み上げています。斜面の傾斜角は約40度です。斜面の盛土を厚くしたのは、雨等水の影響による崩落防止のためと考えられます。 |
調査成果から復元できる土塁構造は下図のとおりです。
土塁天端の幅は約9mです。地表近くの盛土方法は確認できていません。堀側は40度の傾斜をもち、堀底から天端までは約13mで、水深は4.5mほどでした。曲輪側も40度の傾斜で、天端から曲輪面までは5m前後です。堀の水面の高さは、曲輪面より約2m下にありました。
また、土塁基底面には、太さ20cmのマツ杭がランダムで密に打込まれており、地盤固めのための乱杭と推定されます。 |
(古川) |
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