城下町の発掘調査
総曲輪地区の発掘(2014年度調査)
 
1.調査のあらまし
調査地は、富山城南側の三ノ丸外堀(そとぼり)周囲に置かれた城域警備の番方(ばんかた)武家地の一角です。大手門(おおてもん)からは130m西に位置します。
調査では、江戸時代後期(18世紀後半から19世紀代)の屋敷境の溝と、狭い範囲に集中した井戸が見つかりました。

井戸には、江戸時代前期(17世紀)の陶磁器が出土したものもあり、幕末まで長い期間この場所を水場としていました。
また、井戸周辺の土壌(どじょう)分析から、この場所が湿度の高い場所であったことがわかりました。屋敷の中で集水に適した場所を選んで利用していたと考えられます。
調査区全景   石組井戸
調査区全景(東から)   石組井戸
 
2.屋敷の持ち主を示す遺物
朱書きのある陶磁器
朱書きのある陶磁器
幕末の陶磁器には、「そ(曽)川小林」と朱書(しゅが)きされたものが6点あります。調査地は、安政元(1854)年『越中富山御城下絵図』には、「小林貞右衛門(さだうえもん)」屋敷にあたり、朱書きされた陶磁器は絵図の情報が正確であることを裏付ける貴重な資料です。
(細辻)