富山城の割石技術
(5) 石を割る2 分割方法

富山城石垣の築石は、丸い河川転石を割った石を使用しているため、外側からみて丸いカーブや川原石面が残されていて、そうだとわかるものが多くあります。解体調査でも、高岡・氷見産の砂岩石材以外は、鏡石も含めてすべて川原石でした。

この川原石割石利用ということが富山城石垣の最大の特徴であるといえます。

丸い川原石に残されたカーブや矢穴の残り方などから、元の川原石をどう割っていったかを推定することができます。これによると富山城では次の割り方が推定されます。
1.二分割 川原石の長い方を縦に割るもの。矢穴列は一辺のみで2から4個程度。
2.四分割A 二分割した石の割面中央に矢穴を2から4個程度あけ、さらに二分割するもの。原石からは計4個の割石が調達される。
3.四分割B 二分割した石の側面からさらに割面と同方向に割り、板状の石を調達するもの。
4.六分割 二分割した石の割面に矢穴列を2本並行してつけ、三分割する。原石からは計6個の割石が調達されるが、側縁の断面三角形の4石は築石として使用できるとは限らない。
5.九分割 縦横に三分割づつするもの。原石からは計9個の割石が調達される。
6.十六分割 縦横に四分割づつするもの。原石からは計16個の割石が調達される。
3.のスライス状の割り方は、鏡石で採用されていることが解体によって明らかになりました。

4から6の多分割は、角石に多く認められます。これは巨石から方柱状の角石を2石以上調達するための手法とみられます。
(古川)