石垣石材の転用
(1)景雲橋周辺の石材
   
富山城石垣に使われていた石材は、明治以降、いろいろな場所に転用されました。
城址公園北側の松川べり公園には、鯉の泳ぐ池があり、赤い景雲橋が架けられています。
この池の岸や景雲橋の橋台部は、石を並べて作られています。
この石のいくつかは、かつて石垣に使われていた石材であることが判明しました。これらの石はいずれも花崗岩で、矢穴痕が残っています。
景雲橋橋詰の石垣石材
景雲橋橋詰の石垣石材
石垣石材表面の矢穴割付線
石垣石材表面の矢穴割付線
景雲橋北詰の東側にある石は、表面に矢穴を開けようとして、長方形の輪郭線を彫ったが、矢穴は彫らずに断念した痕跡が残っています。石材を分割する過程がわかる貴重な石材です。

池の周りを巡ってみてください。このような石垣から転用した石材がいくつか発見できます。
このほか、婦中町安田の中堂寺境内には、富山城から持ち込んだと伝える石垣石材がいくつかあります。いずれも花崗岩で、矢穴の大きさなど富山城の石材とよく似ています。刻印などは未確認ですが、富山城から運ばれたという話は事実とみてよいでしょう。
(古川)
中堂寺の伝富山城石垣石材
中堂寺の伝富山城石垣石材