フォーラム
「越中の近世城郭 -高岡城からみえてくるもの- 」
報告

 
2009年10月17日に高岡市の古城公園で開催されたフォーラム「越中の近世城郭-高岡城からみえてくるもの-」は、富山考古学会設立60周年を記念して開催されたもので、高岡城・富山城・魚津城の調査研究の現状について報告が行われました。
2009年は、前田利長による高岡開町四百年に当たる年で、また高岡市にある前田利長墓所が同年2月国の史跡に指定され、利長が築城した高岡城への注目が高まるなかで開催されたものです。

最初に各城郭の概要について、高岡城を高岡市教育委員会・栗山雅夫氏、富山城を富山市埋蔵文化財センター・古川知明所長、魚津城を魚津市教育委員会・的場茂晃氏が、スライドと資料集を使いながら説明しました。

基調講演は、NPO法人「城郭遺産による街づくり協議会」理事長・同志社大学非常勤講師の城郭研究家中井均先生が、「越中における近世城郭調査研究の展望」と題して話されました。中井先生は、近世城郭を考古学的調査の成果をテーマとしたフォーラムは、全国的にも画期的なものであると高く評価していただきました。そして、豊臣系の聚楽第型城郭と、徳川系の加納城型城郭との2つの流れの中で、前田氏が高岡城・富山城に聚楽第型を採用した経緯を再評価する必要を指摘されました。

討論では、中井均先生がコーディネーターを務め、高岡城と富山城の縄張りの違いとその内容、高岡城がキリシタン大名高山右近縄張説の正否についてなど、高岡城の今後の調査研究における視点を中心に検討が進みました。特に、高岡城石切丁場として、新たに氷見宇波川上流の安山岩の存在が確認されたことを、西井龍儀富山考古学会副会長と古川が報告しました。

今後における高岡城の調査の進展は、とりもなおさず高岡城のルーツである慶長期富山城の解明に大きく寄与するものと考えられ、このフォーラムは富山城研究にとっても大きな意味をもつものでした。
(古川)