(伝)二ノ丸二階櫓門の礎石

郷土博物館横の石垣石材展示場には、二ノ丸二階櫓門の礎石と伝えられる石材が2個展示されています。これは昭和40年代以前から博物館前に展示されていたもので、昭和29年の富山産業大博覧会当時から展示されていたようです。

2つの礎石は、いずれも安山岩製で、玉石を二分割して作られています。底面側は丸く、河川転石であることを示しています。地表に出る高さ9cm(3寸)ほどがきれいに整形されています。1個はほぼ完全な形ですが、1個は周辺が大きく欠けています。復元すると2つの規格はほぼ同じです。

礎石上面は柱を置くため、73cmから74cm×55cmから56cmの長方形の平たい面になっています。中央には、10cm角、深さ4.5cmのホゾ穴があり、ここに柱底の突起(ホゾ)を入れ固定しました。
礎石の1つには、長さ約36cmの鉄サビが帯状に付いています。門柱には基部に飾板が巻かれており、その痕跡です。このことから、柱の太さは約36cm角に復元できます。

二階櫓御門は、天保2(1831)年の大火で焼損し、翌年と幕末の嘉永7(1854)年の2度にわたり修理が行われました。礎石の1つが欠けている状況は、天保2年の大火の痕跡を示したものと推定されます。
幕末に創建された千歳御門は、薬医門やくいもん形式で少し構造が異なりますが、現在残っている主柱の大きさは38.7cm(12.7寸)角の太さで、この礎石の柱とほぼ同じ規格に復元されます。
(古川)
郷土博物館横に展示中の伝二階櫓門礎石 礎石上面から推定される柱規模(黄色は最大、赤は千歳門主柱の大きさ)
郷土博物館横に展示中の伝二階櫓門礎石 礎石上面から推定される柱規模
(黄色は最大、赤は千歳門主柱の大きさ)