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この墓所で使用されている石材は、大別して3種類があります。
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(1)花崗岩類 |
最も多く使われた石材です。藩主墓石・墓前燈籠・家臣寄進燈籠のほとんどが花崗岩類です。 富山県内の花崗岩には、主に早月川花崗岩・大熊山花崗閃緑岩があります。
早月川花崗岩は、結晶が中粒で桜色や白色のカリ長石を含み、早月川河川敷に多く存在します。近世には富山城石垣の8割はこの花崗岩です。墓石・石塔・燈籠・神社石造物も製作されました。
大熊山花崗閃緑岩は、数cm以上の包有物を含み、早月川・常願寺川の河川敷に多く存在します。 早月川花崗岩の帯磁率は、5から10×10-3SIです。 大熊山花崗閃緑岩の帯磁率は、7から25×10-3SIです。 |
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(2)安山岩類 |
二代藩主正甫墓の塔身・台座が安山岩です。また、室子墓石やそれに奉献された燈籠・花立も安山岩が使われています。 中・近世の富山県内では、長柱状の角閃石斑晶を含む「天狗山溶岩」(角閃石安山岩)が多く使われました。考古学では「立山天狗山石」と呼んでいます。常願寺川上流立山カルデラ内の天狗山周辺にある溶岩が常願寺川に流れ出て、常願寺川河川敷に多く存在します。青灰系色が主体で、ほかに赤灰系色もあります。墓石・石仏・石碑・石塔・狛犬・燈籠が作られました。 このほか、長石を多く含む「八川石」や含有物が少ない「油石」があります。油石は基壇の切石としてよく使われました。 立山天狗山石の帯磁率は20から35×10-3SI、八川石のうち青灰系は21から41×10-3SI、赤灰系は2.5から18.8×10-3SIで、赤灰系色の石の帯磁率は低い傾向にあります。 |
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(3)凝灰岩類 |
藩主墓の縁石、拝所の敷石、参道敷石は、すべて緑色凝灰岩の切石を使っています。 近世期に使われた緑色凝灰岩には、庄川金屋(現砺波市)産の金屋石、越前足羽山(現福井市)産の笏谷石(越前石)、加賀小松産の滝ヶ原石などが知られています。 金屋石の帯磁率は0.1から0.6×10-3SI、滝ヶ原石は0.8から4.5×10-3SI、笏谷石は7.5から13×10-3SIに多く認められます。ただしこれらの範囲から外れる場合は判別が困難となり、含有物の違いを肉眼観察で識別することになります(笏谷石の低い部分と滝ヶ原石の高い部分など)。 |
(古川)
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