富山藩主 前田家墓所 長岡御廟所の調査
4.墓所の石造遺物
(2)寄進燈籠
1.概要
 
「重臣ヨリ献灯姓名録」には、参道部の藩主墓所への参道両側に燈籠の存在を示す朱書の□記号があり、その中には寄進者名が書かれています。その寄進者とは、各藩主墓に仕えた藩士や縁故者です。

この燈籠は、藩主墓所内の墓前燈籠より一回り小形で、笠の形状が異なっています。

「重臣ヨリ献灯姓名録」に掲載された燈籠数は、総数477基、各藩主墓への寄進数は26基から88基で、平均43基あまりです。藩主の在任年数との関係はなく、7代以降代数が新しいほど寄進数が増加します。11代利友が最も多い88基(全体の18.4%)です(表)

これらの寄進燈籠は、昭和30年代以後の墓地開発で、すべての燈籠の位置が変わってしまいました。移動する際部材を取り外して動かしたため、ほとんどの燈籠で部材が混ざり合っています。

寄進燈籠の位置変更後、富山県立北部高等学校地歴同好会が現況調査を行っています。それによると現在はさらに変更がみられます。

(古川)
各藩主墓寄進燈籠数
(「重臣ヨリ献灯姓名録」より)
代・藩主 燈籠数 在任年数
1利次 43 36
2正甫 35 33
3利興 33 19
4利隆 26 21
5利幸 36 18
6利與 33 16
7利久 33 11
8利謙 38 14
9利幹 48 35
10利保 64 12
11利友 88 8
477