富山藩主 前田家墓所 長岡御廟所の調査
3.藩主墓
(1) 藩主墓の全体概要
3.改刻
 
現在墓標正面額内に刻まれている神道式の銘は明治17年に改刻されたもので、それ以前は仏教式の戒名が刻まれていました。
仏教式の戒名が記された拓本が、富山藩前田家の菩提寺の一つである大法寺に残されており、以前の銘が確認できます(写真1)。
これを見ると戒名の両脇に没年月日が刻まれており、現在両側面に刻まれている銘も明治17年に新しく刻まれたものと思われます(写真2)。
現在、各藩主墓の左側面に刻まれた「越中富山城主」の銘を見比べると同じ筆跡であることから、新しく刻まれたものと判断できます(図)。
(小林)

初代墓改刻前の拓影
写真1 初代墓改刻前の拓影
(『富山市史』より)
改刻時の加工段差
写真2 改刻時の加工段差
  「越中富山城主」刻名の拓影
写真3 「越中富山城主」刻名の拓影