2008年出土人骨(1)

今回調査で出土した人骨は2体があり、いずれも穴(墓壙ぼこう)に埋葬されたものです。穴の底には厚さ5cmほど粘土を敷いており、その上に遺体が置かれたと考えられます。
調査時の状況は以下のとおりでした。
 
1号人骨(写真1から3)
貝層中において頭蓋骨ずがいこつ のみを検出しました。首から下は排水路工事の際に削り取られた可能性があります。1970年の県教委による発掘調査の際出土した屈葬くっそう人骨は、頭部はありませんでしたが、その埋葬方向からみて、この人骨とは一致しません。
人骨は、成人男性とみられ、下顎したあごが中央で折れていました。右下顎骨かがくこつには奥歯等5本の歯が残っており、いずれも歯冠部しかんぶが磨り減って平らになっていました。歯根部しこんぶも良好に残っています。この右下顎骨を取り外したところ、下から左下顎骨が現れ、6本の歯が確認されました。上顎骨じょうがくこつには3本の歯が残り、また外れたとみられる2本の歯も確認されました。歯は全部で16本が確認されたことになります。
穴の底からは、けつ状耳飾の破片が出土しました。副葬品ふくそうひんの可能性があります。
 
(写真1) 1号人骨の出土状況 (写真2) 1号人骨右下顎骨・歯
写真1 1号人骨の出土状況 写真2 1号人骨右下顎骨・歯

(写真3) 1号人骨左下顎骨・上顎骨・歯
写真3 1号人骨左下顎骨・上顎骨・歯
 
2号人骨(写真4)
1号人骨の南1mのところで検出しました。
首から下の部分が残っていました。手足を折り曲げて横たわった側臥そくが状態で屈葬くっそうされています。胸の上には33cm×22cmの川原石が乗せられており、いわゆる「抱石葬だきいしそう」に分類されます。
頭部はなく、後年の掘削により失われたと推定されます。体位からみて埋葬された頭位は西北西に復元されます。足首から先は工事のため失われていました。
石の北側には石皿と縄文土器があり、副葬品の可能性があります。
貝層の末端に存在するため、石灰質の影響が弱く、人骨はかなり劣化しています。
(古川)
(写真4) 2号人骨の検出状況
写真4 2号人骨の検出状況