下呂石(1) 石器と石器製作
 
下呂石とは、岐阜県の南部、下呂市湯ヶ峰ゆがみねに産出するガラス質安山岩のことをいいます。湯ヶ峰と富山市中心部とは、直線距離で約100km離れています。
富山県内では、縄文時代の石鏃せきぞく(矢じり)などに下呂石が使われていることが早くから知られていましたが、その実態は不明でした。
縄文時代前期の小竹貝塚では、剥片石器の一部にこの下呂石が使われています。
下呂石製の石器には、石鏃・石錐いしきり(穴をあける)・石匙いしさじ(皮をはぐ)・削器さっき(削る)があり、石鏃に最も多く使用されています。
このほか、剥片石器を作るための素材である剥片はくへんや製作中に出る微細な破片(チップ)が多く見つかっています。したがって、小竹貝塚では剥片石器の製作を行っていたことがわかります。
(古川)
 
下呂石製石器(石鏃・石錐) 石器製作を示す下呂石剥片
下呂石製石器(石鏃・石錐) 石器製作を示す下呂石剥片