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縄文時代にはヒノキなどの樹皮、山ぶどう・葛やアケビのつるや竹を使って編まれたかごなどの編物が利用されていました。このような植物を材料として作られた製品は腐りやすく残ることはほとんどありません。しかし、沼地や谷部などの湿地では、腐ることなく出土することがあります。
代表的な編物として、青森県三内丸山遺跡から縄文ポシェットと呼ばれるかごが出土しています。これはイグサ科の植物で編まれており、首や肩から下げる工夫がされています。また、富山県内では小矢部市の桜町遺跡から、もじり編みというすだれを作るようにして編まれたかごが出土しています。 |
縄文ポシェット
【青森県三内丸山遺跡出土】 |
出典 IPE「教育用画像素材サイト」 http://www2.edu.ipa.go.jp/gz/ |
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なかなか残りにくい編物の痕跡が土器の底部分に残ることがあります。なぜ底部分なのでしょうか。それは、縄文人が敷物に利用した編物の上で縄文土器を作ったためです。そのため編み目が土器の底に押しつけられ、圧痕として底部に残ったのです。 このような例は全国にあり、富山市内の遺跡からも編物の痕が残った縄文土器が多数出土しています。富山市北代遺跡では「網代圧痕」と「すだれ状圧痕」をもつ縄文土器が出土しました。「網代圧痕」とは、網代編みで作られた編物の編み目痕のことをいいます(写真1・2)。 |
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写真1 |
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写真2 |
網代圧痕 【富山市北代遺跡出土】 |
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上部拡大 写真3 |
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右側拡大 写真4 |
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写真5 |
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すだれ状圧痕 【富山市北代遺跡出土】 |
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「すだれ状圧痕」とは、もじり編みで作られた編物の編み目痕のことをいい、タテ糸をヨコ材に絡ませています(写真5)。
底部を良く見ると上部(写真3)と右側(写真4)で編み目の向きが異なっており、土器作りの途中で一度置き換えたと考えられます。 このように同じ北代遺跡から出土した土器でも2種類の圧痕がみられ、編み方に変化をもたせていたことがうかがえます。 |
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