布尻ぬのしり遺跡

六角形状住居跡検出
(大沢野地域)
布尻遺跡は縄文時代早期から晩期を中心に営まれた集落跡で、神通川中流域右岸の河岸段丘上にあります。
 
昭和49(1974)年にほ場整備事業に先立って試掘調査が実施され、昭和51(1976)年に発掘調査が実施されました。
 
遺構は縄文時代中期の六角形状住居跡2棟を含む23棟(焼土・貼床含む)の竪穴住居跡と集石遺構5ヶ所が確認されました。六角形状住居跡は富山県内で初めて確認されたもので約4.5m×5.6mの大きさをもち、住居の壁際を河原石で六角形に縁取り、住居中央部には1辺約60cmの石組炉が築かれています。六角形状住居の検出例は非常に少ないながら、中部地方や関東地方との関連が指摘されており、神通川水系を利用した他地域との交流を示すものです。
六角形状住居
六角形状住居
(出典 2005年 『大沢野町史』)
遺物には縄文時代早期から晩期のものと中世のものがあります。縄文土器には早期から晩期の各時期があり、その大部分は中期から後期のものです。煮炊き用の深鉢や盛り付け用の浅鉢のほか、液体を注ぐ注口土器やランプのような釣手土器、土偶などもあります。また、飛騨地方の下呂石を使って作った石鏃のほか打製石斧、磨製石斧、石皿、磨石などの日常的に使用されたと思われる石器や石棒や石刀など祭祀に関わる石器が豊富に出土しています。
 
富山と飛騨高山を結ぶ地域高規格道路建設のため、現在約20,000平方メートルの発掘調査が実施され、住居跡などが確認されています。